可児市環境基本計画

第1部 基 本 構 想

第1章] [第2章 [第3章]

 

第3章 計画の目標

−将来の可児をどのような環境のまちにするのか−

 

1.基本理念(環境を保全していくための基本的考え方)

(1)環境保全につながるライフスタイルが当たり前となる市民文化をみんなで創ります
   [
循環]

農耕民族である私たちは、元来、生活を営む中で生み出される廃棄物は農業生産の一環に組み込む中で新たな生産物を育む肥料として再利用し、土壌に還元させるという循環型社会システムを築いていました。
ところが、工業化とともに生産のサイクルと生活のサイクルが切り離され、大量生産・大量消費・大量廃棄が当たり前のライフスタイルへと急激に転換していきました。また、私たちもかつてはそうした工業社会への転換を強く指向してきました。
そして、その代償として循環型社会のバランスが崩れ、私たちにとって快適な環境を提供してきた身近な緑や水辺の喪失から、人類に生命の危機を及ぼす地球環境問題の発生まで、大小の弊害を生み出してきました。まさに、私たちは環境を汚染した当事者であり、被害を受ける当事者でもあります。
今、私たちの自己責任において、自然界の再生能力と浄化能力の範囲内で人間の諸活動が営まれるような循環型社会を再構築していくことが求められています。
そのためには、市民一人ひとりが循環型社会に呼応した環境保全につながるライフスタイルへの転換を図るとともに、事業者においても事業活動全般を環境面から見直し、環境と調和した事業活動を行っていく必要があります。そして、環境に気づかった生活や事業活動を積み重ねていく中で、やがてそれが生活や事業活動の中に溶け込み、当たり前となるようにしていかなければなりません。
そうした、環境に気づかいながらさりげなく展開される日常的な市民生活そのものを一つの市民文化として捉え、それをみんなで創ることを目指していきます。


(2)自然や歴史的・文化的遺産など可児市固有の環境と共生していきます
[共生]

丘陵部を中心に大規模な住宅団地等が開発された現在でも、豊かな自然(緑豊かな山並みや斜面林、ため池や湧水湿地とそこに生息する貴重な湿性植物、洞や河岸段丘*など変化に富んだ起伏のある地形、数多くある洞から流れる小河川、そうした小河川が集まり蛇行して流れる可児川など)が本市には残されており、それらが本市の風景を特徴づけています。
また、徐々にその姿が減少しているものの、かつては農業生産の営みの中で人々の生活に溶け込み、人々の手入れにより美しく管理され、子どもの遊び場としても活用されていた里山、里山を背景に広がる田畑、丘陵の際に沿うように建てられている民家、その民家の庭木と生け垣と玉石による石積みなどで構成されたのどかで落ち着きのある「里の風景=田園景観」は、まさに日本人の原風景のイメージに合致しています。
さらに、丘陵一帯に広がる古墳群、市内各所に残る古窯群、中世の繁栄を偲ばせる城跡や史跡、祭り、社寺林など、誇るべき歴史的資源も数多く残されています。
一方、これらの有形の環境のほか、環境と共生してきた伝統的な生活様式や風習、風物、先人の知恵などの無形の遺産もあります。
このような本市を特徴づける環境は、市民アンケートの結果や市民会議の意見でもかなり高い評価を得ています。しかし、その評価がこうした環境を保全していく実践行動には必ずしも結びついていません。それは、環境の本来的な価値や保全していくための方法等が十分理 解されていないことによるものと考えられます。
そこで、まずは、本市の自然や歴史が持つ本市固有の環境としての本来的な価値を市民一人ひとりが正しく知り、正しく理解することが大切です。また、自然の価値や恐ろしさなどを体験する機会を通して、子どもたちに本来的な価値を伝えていくことも必要です。さらに、環境と共生してきた伝統的な生活様式や風習を生活の中に取り入れていくことも必要です。
こうした価値の再認識や先人の生活に触れることを通じて、地域の自然や歴史への愛着や誇りが育まれ、ひいてはそれらを守り・育む心や気持ちが自ずと醸成されていきます。そして、その結果として地域の自然的・歴史的資源との正しいつきあい方、かかわり方の再構築が図 られます。
そうした、地域の自然や歴史と市民生活との相互関係のあるべき姿を追求するとともに、本市固有の環境と共生する持続可能で適正な規模・速度の都市の成長(都市の成長管理)を図り、自然や歴史と市民生活との共生の実現を目指していきます。


(3)世代や立場を越えて環境に対する思いや願いを共有し、子どもたちや将来世代に
   継承していきます
[持続]

環境は、私たち人間のみならずあらゆる生物が、将来世代にわたって健康に生き続けていく ための「命」の根源となる重要な基盤です。
また、前述したような地域の環境は、先人達の長年にわたる営みの積み重ねによって培われ、受け継がれてきたものです。こうした環境ばかりでなく、化石燃料に代表されるエネルギー資源など、現在の私たちの便利で豊かな生活を成り立たせているあらゆる環境は、全て過去の世代から受け継がれ、生態系の微妙なバランスによって保たれてきた有限で貴重な資産です。
このような「命」の基盤である環境を私たちの手で悪化させたり、私たち現世代の所有物として全てを使い果たすべきものではなく、あくまでも将来世代からの借り物であり、将来世代に持続的に受け継いでいくべきものであることを十分認識することが何よりも大切です。そして、こうした世代間の公平を図っていくことが、現世代を生きる私たちの最大の責務であると言えます。
子どもと大人、若者と高齢者、男性と女性、先祖代々本市に居住している人と住宅を求めて新たに本市に住むようになった人など、多様な人々によって市民は構成されています。そして、価値観も千差万別です。
しかし、環境に対する価値観については、「世代間の公平や将来世代への継承」という観点などから見つめ直し、市民相互の共通した思いや願いとして新たに育んでいくことが大切です。
そうした、将来世代を視野に入れた長期的な展望のもとで、年齢や立場を越えたさまざまな交流などを通じて、こうした思いや願いを共通理念として共有化を進め、子どもたちや将来世代に限りある環境を持続的に継承していくことを目指していきます。


(4)自らの行動と他地域との連携により、地球環境保全を進めます
[連携]

本市に住む私たちは、可児市民であると同時に、木曽川からの恵みを受けながらその流域に暮らす流域市民であり、さらに、地球に住む地球市民でもあります。
今日の環境問題が市域を越え、県境を越え、国境を越えた地球規模の空間的な広がりを持っている中、逆に、環境問題を少しでも解決の方向に向けていくためには、基礎的単位である地域からの具体的な活動の展開とその努力の積み重ねが大切となります。
本市に住む私たち一人ひとりの心掛けにより、流域圏から地球までの環境保全にも貢献していかなければならないのです。
地球環境問題は、急激ではありませんが着実に私たち人類の生命の存立基盤を脅かすような性格のものであり、まさに人類共通の課題であるといえます。そして、その原因は、私たち 一人ひとりの日常生活の中から発生し、それが蓄積することによるところが大きく、私たち自身を危機から救うためには、私たち自身の生活そのものを見直していくことが求められています。
そのため、私たちも生態系の一員であると十分認識し、地球環境の保全を語るときよく言われる「地球規模で考え、行動は足下から」という言葉のとおり地域から有効な取り組みを積 極的に展開していく必要があります。
そうした、基本認識を持って、足下である地域をベースに他地域と連携しながら着実に環境保全行動を実践し、地球環境保全に積極的に貢献していくことを目指していきます。


(5)環境を正しく知り、理解し、行動し、広めていきます
[協働]

環境問題を解決するためには、何よりも私たち一人ひとりの行動から始めなければなりません。このような意見は市民会議の中でも数多くの市民から出されています。
しかしながら、環境問題は多岐・多様な分野にわたり、環境問題そのものの実態が明らかでなかったり、解決に向けた方法が確立されていなかったりする場合も少なくありません。あるいは、正しい情報が共有されていないがために、方法が確立していても具体的にどのよう なことを、どこから取りかかってよいのか分からないような場合も少なくありません。
したがって、まずは、市民一人ひとりや事業者が環境の現状と今日的課題を知り、正しく理解し、その上で各自が責任をもって行動していくことが大切です。そのためには、環境観測(モニタリング)を継続的に行い、情報を的確に提供して、みんなで共有することが不可欠です。
また、個人個人の努力だけでも効果的に実践できるものもあれば、個人個人の労力を伴いながらも団体やグループの取り組みにしてこそ効果的に解決につながっていくものもあります。
したがって、個人個人バラバラで行動するだけではなく、情報の共有から、共通理解を得て、共通目標に向かって具体的に行動する様々な段階における「協働」が重要です。
そして、行動の輪を家族へ、地域へと広げていきます。そのため、解決すべき一つひとつの環境問題について、関係する市民、事業者、市が一緒になって考え、相互の綿密なコミュニケーションとそれぞれの公平な役割分担を図っていく必要があります。
そうした、環境を正しく知り、理解し、行動し、広めていくことを、自発的、積極的に、そして共に行っていくことを目指していきます。
 

2.目指すべき環境像

 環境の現況や課題、そしてそこから導き出された基本理念に基づき、本市の目指すべき環境像 を設定します。

 市民一人ひとりが環境を正しく知り、考え、行動を積み重ねていく中で、環境と共生したライフスタイルが日常生活の中に溶け込み、やがてそれが当たり前となる。そのようなさりげなく環境に気づかう“市民文化”をみんなで創っていくことを本計画では目指します。そして、それによって自ずと立ちあらわれてくる市民生活の姿や都市環境の姿そのものを将来環境像として位置づけます。

  そして、具体的には、次のような将来環境像を掲げます。

将来世代につなぐ環境文化都市・可児

−共に考え、行動する、環境に気づかう市民文化が息づく都市の創造−

 

主題を「将来世代につなぐ環境文化都市・可児」とコンパクトにし、また、「環境文化都市」という新たな概念を導入しています。そして、副題の「共に考え、行動する、環境に気づかう市民文化が息づく都市の創造」において、環境像の思いや考えの内容が直にわかるような説明的な表現、標語的な表現にしています。

 


【キーワードの解説】
  ■将来世代につなぐ
 過去の世代から与えられ受け継がれてきた貴重な資産である環境(例えば里山、小川など)、環境に対する共通した思いや願いを、将来を担う子どもたちや孫の代、すなわち将来世代まで持続的に継承していくことの大切さを表現しています。
  ■環境文化都市
 環境に気づかいながらさりげなく展開される日常的な市民生活そのものを市民文化として捉え、そうした市民文化をみんなで創っていく様やその結果として自ずと立ちあらわれてくる環境の姿を総称して「環境文化都市」と表現 しています。
  ■共に
 親と子ども、市民同士、市民と事業者と市の協働・パートナーシップの大切さを表現しています。また、様々な環境情報を共有していく大切さ、環境に対する価値観や理念を共有していくことの大切さなども表現しています。
  ■考え、行動する
 環境について正しく知り、考えることの大切さや、市民の自発的かつ積極的な行動の重要さ、また、まず責任をもった行動からという思いや意志を表現しています。
  ■環境に気づかう市民文化
 環境の大切さに気づき、環境に気づかいながら、当たり前のように展開される日常的な市民生活そのものを市民文化として捉え、それを醸成していくことの大切さや醸成していくことの意志や思いを表現しています。
  ■息づく
 さりげなく存在している様子や、溶け込んで、綿々と根付いている状態などを表現しています。
 

3.基本目標と基本方針

基本目標
    基本理念や目指すべき環境像を実現していくために、本市として取り組むべき施策の柱を示したものです。
基本方針
 基本目標を達成するために体系的に整理したもので、各方針ごとに施策の基本的な考え方、市民・事業者・市の役割分担を示していきます。可能なものについては数値目標を設定していきます。

 

目標1

安全・安心に住み続けられるまちをつくります
 
 人や生物が生き続けていく際に影響を及ぼす公害などの防止対策や環境改善などを進め、安全・安心に住み続けられるまちづくりを行います。
 




○きれいでさわやかな空気を守る(大気環境の保全、悪臭の防止)
○命を育むきれいな水を守る(水環境の保全)
○まちの静けさを守る(騒音・振動の防止)
○環境ホルモンなど有害化学物質による健康被害を防止する
 

目標2

人と生物を育む自然を守り育てるまちをつくります

 

 本市にある貴重な自然資源や自然生態系、可児固有の資源である里山を保全するとともに、市民一人ひとりがそれらの価値を認識して、保全とふれあいの場を創出するまちづくりを行います。
 




自然を基調とした適正な土地利用を進める
○動植物の生息・生育環境を保全・創造する
○里山を保全・育成する
○自然生態系を育む水辺を保全する
○自然とのふれあいを創出する
 
目標3 快適でうるおいのあるまちをつくります

 

 恵まれた水や緑、過去から受け継がれた歴史文化に育まれる中、市民の総意でそれらが将来にも受け継がれ、市民が住み続けたいと感じられるようなうるおいのあるまちづくりを行います。
 







○都市緑化の推進と公園緑地ネットワークを形成する(公園緑地の整備など)
○良好な都市景観を形成する
○優れた歴史的・文化的資源を保全する
○水に親しめる空間を整備・活用する
○農地を保全・活用する
○花で彩られた美しいまちづくりを推進する
○散乱ごみ等がない美しいまちづくりを推進する
 
目標4 環境への負荷が小さく持続可能なまちをつくります

 

 大量生産・大量消費・大量廃棄のライフスタイルを見直し、環境負荷が小さな循環型社会を再構築することで、将来世代にも豊かな生活が享受できるようなまちづくりを行います。
 







○ごみの発生抑制と減量化を図る
○物の循環利用を推進する
 (リサイクルを推進する〔物の再資源化、環境にやさしい製品の使用など〕)
○ごみの適正処理を推進する
○水の循環利用を推進する
○食の安全から環境に貢献する(環境保全型農業の展開や地場流通の促進など)
 
目標5 地球環境保全に貢献するまちをつくります

 

 市民一人ひとりが地球に住む人類の一員として地球環境問題を知り、自らが加害者であり被害者であると認識した上で、できることから有効な取り組みを進めるようなまちづくりを行います。
 




○地球温暖化対策を推進する
○酸性雨対策を推進する
○オゾン層の保護対策を推進する
○熱帯林の保護対策を推進する
○エネルギーの有効利用を図る(未利用エネルギーや自然エネルギーの利用など)
○環境分野における国際交流・国際貢献を推進する
 
目標6 市民・事業者・市が責任を持って環境保全に行動するまちをつくります

 

 環境に係わるすべての人々が、それぞれの立場で自己責任において行動するための仕組みづくりを行うとともに、異なる立場の人々の連携と役割分担を図り、総合的な環境保全対策に向けて行動するまちづくりを行います。
 




○環境情報を的確に把握し積極的に提供する
○環境教育、環境学習を推進する
○市民・事業者・市の協働による環境保全活動を推進する
○広域的な連携と体制づくりを行う
○環境文化都市「可児」のイメージづくりと情報発信をする

 

計画目標の体系図

 

基本理念

(1)環境保全につながるライフスタイルが当たり前となる市民文化をみんなで創ります[循環]

(2)自然や歴史的・文化的遺産など可児市固有の環境と共存していきます[共生]

(3)世代や立場を越えて環境に対する思いやりや願いを共有し、子どもたちや将来世代に継承していきます[持続]

(4)自らの行動と他地域との連携により、地球環境保全を進めます[連携]

(5)環境を正しく知り、理解し、広めていきます[協働]

■目指すべき環境像        基本目標と基本方針

目指すべき環境像

 
 

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